2023.09.27
デッドな防音室
音の響きの少ない空間を「デッド」と言ったりします。
反対に音が響き渡る場合「ライブな空間」と表現することがあります。音の響きが「死んでいる」「生きている」ということです。
音が響きすぎると個々の音が埋もれ粒だちがわかりにくい、リズム、テンポがとりづらいなど演奏に支障がでます。聴く側にとっても気持ちの良い音ではないでしょう。
逆に音の響きが極端に少ないと楽器の音が豊かに感じられなくつまらないものになってしまいます。
しかし、最近では録音される音素材として、部屋の空気感、音の反響(リバーブやディレイ)を含むものは後の編集で扱いづらいものとしての認識があります。
楽曲のミックス作業時や映像への差込み時に、その作品にふさわしい空気感をエフェクト処理で加工(味付け)するのですが、素材が素であるほどなじみよく処理できるのです。
単調な四角い防音室で録音を行った場合、より防音室の響きの空気感が一緒に録音されてしまいます。使用するマイクの特性により様々な結果になりますが、良いセッティングを突き詰めるには時間やお金が浪費されると思います。
プロ仕様の高品位なマイクほど空気感は収録されてしまいます。ハイビット、ハイサンプルレートのデジタル録音機器を使用するとその空気感が記録されてしまいます。
そこで、デッドな防音室で録音を行うとタイトな素の音が収録できます。
録音以外でも、実況配信やリモート会議などで発信側の音声をクリアに先方に届ける状況にも効果的です。
リスニングを主とする語学系の動画配信などは声が聴きとりづらいと細かいニュアンスが伝わりません。
一般的なユニット型防音室はどうでしょうか。
YAMAHA セフィーネNSは壁面に調音パネルが配置されています。
吸音部と単調な響きを豊かにする音場調整部の複合パネルです。「NS」はナチュラル・サウンドを意味します。防音室の大きさにより付属の枚数がかわります。パネルのついていない壁面のスペースは反射面になります。
アコースティックの楽器の演奏にはとても効果的です。
KAWAI ナサールは吸音パネルが用意されています。
高音域用と全音域用とあります。パネルの位置を(横方向に)自由に変更できます。パネルのないところは反射面になります。
パネルのある場所、パネルのない反射面をバランスよく配置するようにします。
YAMAHA DIY.M(ユーザー組立型簡易防音室)はオプションで吸音パネルが用意されています。
管楽器などで使用される場合、吸音パネルの追加が必要になるでしょう。
さてデッドな防音室というのはどのようなものでしょうか。
上に挙げた防音室の内壁面に吸音パネルを追加で取り付けます。最大は壁面全てとドア、天井にもつけます。
換気扇、ドアの窓、照明、電源コンセント部以外すべてに吸音パネルを取り付けます。
床面はカーペットであれば吸音してくれます。
吸音パネルにより特性があり好みにより選ぶことができます。大きさ、形、取り付け方法も様々です。
防音ブース自体が吸音パネルで構成されているVERY-Q Booth Setシリーズがあります。960 Booth Setの他、デスクトップ音楽制作や配信用デスクがセットできるよう大きめサイズの VERY-Q Plus VQPP1330-GB もあります。
「圧倒的没入感」というコンセプトにふさわしくそのままでナレーション録音などに適したデッドな音響空間が設けられます。お部屋に自身で組み立てて置くだけ、電源やインターネット用配線のブース内引き込みも簡単にできます。
規模の大きい防音室を導入できない環境でもVERY-Q Booth setでしたら設置も可能かもしれません。
プラザ立川ショールームには各種防音室、防音ブースが展示してあり実際に体験できます。防音、吸音製品も展示してあります。
宮地楽器 防音リフォーム事業部では、使用目的にあわせた防音室のプランニング、防音室導入後の吸音施工等も行っておりますので、ご相談ください。